
コーチングのせいで迷いが生じる
コーチの資格を取得して、マネジメント業務も始まりました。どんな資格も取得してからがスタート。私にとっての初めての「マネジメント」と初めての「コーチング」。コーチングという唯一の武器だけで、マネジメントがどうなるか分かりませんでしたが、もう始まっているので前に進むしかありません。しかし・・・、
「2つの初めて」を同時進行していくうちに、気持ちにズレが生じてきて、そのズレは自分の迷いにもなってきました。
そしたら自分に異変が起こりました。
コーチングマインド:コーチングの基本的な考え方「答えはクライアントにある」
マネジメントを行う上で、私のなかで「コーチングマインド」に疑問が付いて回り始めました。
「答えはクライアントにある」
「コーチはアドバイスをしてはいけない」
「クライアントは部下」
「部下が答えを持っている」
「コーチ(私)は部下にアドバイスをしてはいけない」
突っ込みどころ満載。自分で読んでいても恥ずかしい。この上述5つ。
部下の意見を、「傾聴」とは名ばかりの、ただ聞いているだけの上司でした。
そしてそれは、他部門や上層部、そして部下から見たら、それはそれは頼りない管理職だったでしょう。
何かが違う、何かしっくりこない、でも何がそう思わせるのか分からない。 そういう迷いのなかで、私のコーチング&マネジメントマインドはこのように進化します。今思えば、これが異変のスタートでした。
「部下のミスは、きちんと指導できなかった自分のミス」
「私がもっともっと部下をサポートしなければ」
「部下が仕事のしやすい環境を作らなければ」
「不平不満が出ているけれど、自分向上のためのスパイスだから参考にしなければ」
「愚痴とか不満は管理職である自分は言ってはいけない」
考えは、さらに飛躍して、「他部門の成績が芳しくないのは自分の部門の責任者である自分の責任」とまで考えていました。
当時はまったく気が付くことができませんでしたが「マネジメントマインド」だって、もはやここにはありませんでした。
コーチングと決別する
勝手に責任を背負い(誰もそこまで責任を背負わせていないのに)、とてつもなく苦しくなりました。その苦しさの原因がコーチングなんだと思い込み、「コーチングは辞める」とこの時決めました。
コーチングマインドを持たないようにしようと。
だからと言って自分の環境が楽になるわけでもありません。唯一の武器だと思っていたもの=コーチングを自ら放棄したわけですから、丸裸状態で業務に臨むわけです。
複数の部門と密接に関わる部署にいると、「判断」と「相談」の依頼が後を絶ちません。私の席の周りはいつも数人が私の「判断」や「回答」を待つ人が立っている状況に。次から次へと、メールなどではなく人がやってきます。メールやチャットだけでは、業務が回らない状況になっているわけです。
待たせてはいけない、でもどう解決しようか、あちらを立てればこちらが立たず。自分の上司には、年下の上司だから「相談なんてしてはいけない」というわけの分からない壁で覆われていた。
いろいろ捌け切れない自分に対する周りの目の全てを「怖い」と感じるようになっていました。そんな時に、心と体のバランスが崩れます。冗談だって言ってくれて、慕ってくれる部下の顔さえ、「怖い」と感じる。
私は完璧主義ゆえ、ほんの些細なとができないだけで自分にダメ出しをして、それが積み重なって、勝手に自滅。1時間以上も涙が止まらず会社のトイレに何度も籠ったり、自宅で食事をしているときに突然涙が出てきて止まらなくなる。「泣く」というその感情よりも、何かを吐き出すために「涙で排出」していたのかもしれません。
そして、コーチングからも(会社の計らいで)マネジメントからも離れ、いったん私の環境は完全にリセットされます。いろいろなことから解放されて、とてもラクになりました。